9月3日(木)の報道ステーションで、古館氏が、携帯電話用角型リチウムイオン二次電池の集電体を、「折りたたまれて詰め込まれているのを無理やり引っ張り出すと」という主旨の発言とともに紹介されていました。
これは実際に電池から取り出したものではなく、電池メーカーから入手した電池ケースへ詰め込む前の集電体と想像します。その根拠は私はリチウムイオン二次電池の電解液メーカーに勤務しておりリチウムイオン二次電池の電解液の危険性を十分承知しているからです。電池から引っ張り出したものであれば電解液を含んでおり古館氏は今頃病院でもだえ苦しんでいるはずです。
リチウムイオン二次電池の電解液は空気中の水分と反応して徐々にフッ酸を生成します。フッ酸は生体への浸透性が強く、硫酸、塩酸、硝酸等よりよっぽど怖い(痛い)酸です。
今時の日本の家庭には、どこでも古くなったリチウムイオン二次電池がころがっているかと思います。報道ステーションを見て、まねしてリチウムイオン二次電池を分解して、薬傷する人物が出てこないか危惧するものです。その場合、マスメディアとしてのTV朝日の社会的責任も当然問われると思いますし、集電体を提供した電池メーカーの姿勢にも大いに疑問を感じます。
それ以前に完全に放電してからでないと、分解しようとした際に火を噴く可能性もあります。携帯電話やノートパソコンで火を噴いている事例が多数紹介されていますよね。
とにかく私は硫酸・塩酸・硝酸等よりもよっぽどフッ酸の方が怖いです。さらに触った瞬間に痛みを感じるのではなく、徐々に浸透してから相当痛くなるとの話ですので、素人は触ってはいけません。
ちなみに私は、大学時代の実験で、希釈してあるものの、硫酸・塩酸・硝酸には触れたことがあります。これらは直ぐに水で洗い流せばそれほど怖いものとは思っていません。酢酸は水酸化ナトリウム等に被液した時に中和するために常備していたぐらいです。フッ酸はものすごく痛いと聞いていたので、耐薬品性の手袋を二重にして数回だけ扱ったことがあります。今は実験現場からは離れていますが、フッ素がらみの物質は反応性が高いので、有用性も高いですが、危険性も高いです。
くれぐれもご注意下さい。
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